2011-01-13
皆さんコンニチハ!!
オーボエの小川綾子です。
近頃本当に冷え込む日が続きますね~
突然ですが、皆さんは年末年始は如何お過ごしでしたか~?
私は年末からずーっと仕事で、やっと休みが取れたのは1月5日になってからでした。
毎年テレビ東京で「東急ジルベスター・コンサート」を生放送していますが、私は今年も出演していました。
観ていただけましたか~??
既にご存じの方も多いと思いますが、世界中のジルベスター・コンサートの中でも珍しく、演奏が終わると同時に新年(0:00)を迎えるという毎年とても盛り上がるコンサートです。
今年は小林研一郎さんの指揮でマーラーの交響曲第2番「復活」で華やかに新年を迎えました。
聴いている方々も同じ気持ちだとは思いますが、演奏している私たちは0時0分にピッタリと終わるかどうか本当にドキドキしながら演奏しています。
とはいえ演奏者は指揮者の小林さんを信じ演奏するのみ!!
演奏を終えた瞬間は新年を迎えたという気持ちよりは「はぁ~終わった~」という安堵の気持ちが何より先で、会場の拍手でふと我に返ると「あー大成功だったんだ~」と後からじわじわ気付くんですよ(笑)
演奏中は精一杯であの時あの舞台に立てる幸せを、帰宅して録画しておいたジルベスター・コンサートを観て改めて気付くんですよね~・・・反省・・・
今月10日、私のオーボエ・イングリッシュホルン人生でも集大成といえるほど重要な位置を占めるであろう仕事を終えました。
新国立劇場で「トリスタンとイゾルデ」というワーグナーの楽劇を演奏しました。
この楽劇は休憩含め上演時間5時間40分という超大作です。
3幕にイングリッシュホルンのとてつもなく長いソロがあり、今回そのパートを担当しました。
このソロはバンダといってオーケストラピットを出て舞台袖でたった独りで演奏しました。
約3分間休符もなしにぶっ通しで吹き続けなければならす、たまにオケや歌が絡まる事があっても基本的にはイングリッシュホルン一人だけ。その間は指揮者(大野和士さん)も指揮はせず演奏の全ては私に委ねられます。
あんな状況下に立たされたのは下手をすれば楽団の入団オーディション以来30数年ぶりかも・・・
長い間この仕事をしていてもこの曲を演奏したのは初めてでした。
東京フィルも割とオペラは多い方ですがワーグナーは規模も予算も膨大なため、そう多くは上演されません。
このソロはイングリッシュホルン奏者の中では誰もが知っているレパートリーですし、誰もが個人的に練習はすると思いますが、実際のステージ上で演奏する機会はそうそう無いので、今回このチャンスが私に回ってきたことは演奏家の私にとっても大きな喜びと共に、イングリッシュホルン奏者としてエベレストを登頂する程の人生最大の一つの挑戦でした。
そのため秋から楽譜を準備し個室練習スタジオに何度も足を運び、家にいる時は楽譜と睨めっこ。
前筆した様に殆どは私に任される為、一つ一つのフレーズを隅々まで自分なりに研究しました。
とはいえ日ごろの東京フィルの活動も並行しながらの作業ですので、なかなか思うようにじっくりと時間も取れなかったので大変でしたが、やると決めた以上それを言い訳にはできませんし自分自信への挑戦という意味も込め、親しくしているオケ同僚の皆の温かい応援の声の支えもあり、何とか励んで来る事ができました。
全5公演を無事に終えられてホッとすると共に、今までのどんな公演でも味わった事のない一種の達成感のような感覚を覚えました。
本当に良かったです。
私に取り巻く全ての環境に感謝したいと思います。
ところでこの「トリスタンとイゾルデ」には一風変わった楽器が登場します。
ホルツトランペットという楽器です。
文字通りホルツ(木)でできたトランペットです。
もちろんトランペット奏者が担当します。
そのホルツトランペットも私と同様バンダ(舞台袖)で演奏するので、観客の目に入る事はありません。なんともったいない!!
聞くところによると、この曲の為だけに開発された楽器だそうです。
今回は久しぶりという事で特大号で日記を書きました。
次回もお楽しみに~
それでは風邪などに気をつけて下さいね~
オーボエの小川綾子です。
近頃本当に冷え込む日が続きますね~
突然ですが、皆さんは年末年始は如何お過ごしでしたか~?
私は年末からずーっと仕事で、やっと休みが取れたのは1月5日になってからでした。
毎年テレビ東京で「東急ジルベスター・コンサート」を生放送していますが、私は今年も出演していました。
観ていただけましたか~??
既にご存じの方も多いと思いますが、世界中のジルベスター・コンサートの中でも珍しく、演奏が終わると同時に新年(0:00)を迎えるという毎年とても盛り上がるコンサートです。
今年は小林研一郎さんの指揮でマーラーの交響曲第2番「復活」で華やかに新年を迎えました。
聴いている方々も同じ気持ちだとは思いますが、演奏している私たちは0時0分にピッタリと終わるかどうか本当にドキドキしながら演奏しています。
とはいえ演奏者は指揮者の小林さんを信じ演奏するのみ!!
演奏を終えた瞬間は新年を迎えたという気持ちよりは「はぁ~終わった~」という安堵の気持ちが何より先で、会場の拍手でふと我に返ると「あー大成功だったんだ~」と後からじわじわ気付くんですよ(笑)
演奏中は精一杯であの時あの舞台に立てる幸せを、帰宅して録画しておいたジルベスター・コンサートを観て改めて気付くんですよね~・・・反省・・・
今月10日、私のオーボエ・イングリッシュホルン人生でも集大成といえるほど重要な位置を占めるであろう仕事を終えました。
新国立劇場で「トリスタンとイゾルデ」というワーグナーの楽劇を演奏しました。
この楽劇は休憩含め上演時間5時間40分という超大作です。
3幕にイングリッシュホルンのとてつもなく長いソロがあり、今回そのパートを担当しました。
このソロはバンダといってオーケストラピットを出て舞台袖でたった独りで演奏しました。
約3分間休符もなしにぶっ通しで吹き続けなければならす、たまにオケや歌が絡まる事があっても基本的にはイングリッシュホルン一人だけ。その間は指揮者(大野和士さん)も指揮はせず演奏の全ては私に委ねられます。
あんな状況下に立たされたのは下手をすれば楽団の入団オーディション以来30数年ぶりかも・・・
長い間この仕事をしていてもこの曲を演奏したのは初めてでした。
東京フィルも割とオペラは多い方ですがワーグナーは規模も予算も膨大なため、そう多くは上演されません。
このソロはイングリッシュホルン奏者の中では誰もが知っているレパートリーですし、誰もが個人的に練習はすると思いますが、実際のステージ上で演奏する機会はそうそう無いので、今回このチャンスが私に回ってきたことは演奏家の私にとっても大きな喜びと共に、イングリッシュホルン奏者としてエベレストを登頂する程の人生最大の一つの挑戦でした。
そのため秋から楽譜を準備し個室練習スタジオに何度も足を運び、家にいる時は楽譜と睨めっこ。
前筆した様に殆どは私に任される為、一つ一つのフレーズを隅々まで自分なりに研究しました。
とはいえ日ごろの東京フィルの活動も並行しながらの作業ですので、なかなか思うようにじっくりと時間も取れなかったので大変でしたが、やると決めた以上それを言い訳にはできませんし自分自信への挑戦という意味も込め、親しくしているオケ同僚の皆の温かい応援の声の支えもあり、何とか励んで来る事ができました。
全5公演を無事に終えられてホッとすると共に、今までのどんな公演でも味わった事のない一種の達成感のような感覚を覚えました。
本当に良かったです。
私に取り巻く全ての環境に感謝したいと思います。
ところでこの「トリスタンとイゾルデ」には一風変わった楽器が登場します。
ホルツトランペットという楽器です。
文字通りホルツ(木)でできたトランペットです。
もちろんトランペット奏者が担当します。
そのホルツトランペットも私と同様バンダ(舞台袖)で演奏するので、観客の目に入る事はありません。なんともったいない!!
聞くところによると、この曲の為だけに開発された楽器だそうです。
今回は久しぶりという事で特大号で日記を書きました。
次回もお楽しみに~
それでは風邪などに気をつけて下さいね~
2011-01-13 00:02
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コメント(3)
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いやーーー先生、久しぶりの更新ですね。
お待ちしておりました。
ワーグナーの中でも「トリスタンとイゾルデ」は
大好きで、先生が吹かれたあのsoloも
好きです。自分でもたまに吹くんですが
途中でめまいがして全部吹けません・・・
お聞きしたかったです・・・。
by MU (2011-01-13 12:18)
○MUさま
コメントありがとうございます。
今年もオーボエ愛好家として良い年になるよう頑張りましょうね。
by Ayako (2011-01-13 23:37)
新国立劇場の楽劇「トリスタンとイゾルデ」の2010年
(平成22年)12月28日公演を観賞できました。
特に、第三幕の前奏曲、及びシャルマイの寂滅感に
あふれた独奏が好きで、待ちわびておりました。
「そのため秋から楽譜を準備し個室練習スタジオに
何度も足を運び、家にいる時は楽譜と睨めっこ。」
とか。
ビジターの上記URLに先入観なく感想を書かせて
いただきました。
素晴らしい結果は、影のご努力があってこそと、
後日、貴ブログを拝見し、感激いたしました。
また、船が見えて、明るい歓喜に満ちた音色の
場面になりますと、観ている自分も思わず
涙がこみ上げてきます。
ここの場面のシャルマイがイングリッシュ
ホルンでなく、トランペットに変るのは
長いこと抵抗があったのですが、
ホルツトランペットという特別の楽器と
ご紹介いただき、改めてワーグナーの
思慮深い完璧さを感じたしだいです。
このことを一生知らなかったら、
愛好者として悔やまれる処でした。
ご紹介ありがとうございました。
ご退団と伺いましたが、今後のご活躍を
お祈りいたします。
いたずらに歳を重ねた古希のOBより。
by 中Chan (2011-09-04 17:58)